DER(守備効率)とは ― なぜ守備を予測に入れたのか
Pennant Labの予測には、2026年からDER(守備効率)という指標を組み込んでいます。少し地味な要素ですが、なぜこれを入れたのか、そしてなぜ「控えめに」入れているのかを書いておきます。
DERとは何か
DERは Defensive Efficiency Ratio の略で、ざっくり言うと「グラウンドに飛んだ打球のうち、どれだけをアウトにできたか」の割合です。ホームランのように守備が関与できない打球は除いて、フェアグラウンドに飛んだ打球をどれだけ確実に処理したか。それを表します。
数字が高いほど、守備でヒットを防いでいるチーム、ということになります。
防御率に、隠れている守備
なぜこれを予測に入れたのか。きっかけは、Eloレーティングと先発投手だけでは説明しきれない失点の差があったことでした。
防御率や失点は、つい投手だけの手柄・責任のように見えてしまいます。でも実際には、その後ろで守る野手の貢献がかなり大きい。同じ投手が投げても、守備の堅いチームなら弾き返された打球がアウトになり、守備のもろいチームなら同じ打球がヒットになる。この「投手の数字に隠れた守備の力」を拾いたくて、DERを入れました。
過去10年ぶんで検証してみると、DERを加えたときに予測の精度がわずかに上がった。それが導入の決め手でした。
あえて、弱めに入れている
ただし、DERの効き目は控えめにしてあります。だいたい本拠地補正(ホームの有利さ)の半分くらいの効果に抑えている。理由は、守備効率という数字には運の要素もそれなりに混じっていて、強く効かせすぎると予測がぶれるからです。
正直に言えば、DERを入れたからといって予測が劇的に変わるわけではありません。あくまで「少しだけ、より現実に近づける」ための味付けです。2026年でいえば、西武がこの守備効率でリーグ上位につけていて、守備主導の戦いぶりを予測にも織り込んでいます。
数字は、足すほど良いわけではない
この話には、私にとっての教訓もあります。予測モデルは、要素をたくさん足せば足すほど良くなる、というものではありません。実際、効くはずだと思って試した指標が、検証してみるとほとんど効かず、外したものもいくつもあります(このあたりは予測精度の検証に書きました)。
DERを「入れた」ことよりも、「弱めに入れる」と決めたことのほうが、実は大事な判断でした。効きそうな要素を、検証して、効くぶんだけ、効く強さで入れる。地味ですが、これが予測の質を左右すると思っています。