Pennant Lab

用語集

Pennant Labで使用している予測モデル・統計指標・補正要素を分類して解説します。 専門用語に出会ったら、ここで意味と「当サイトでの使われ方」を確認できます。

予測モデル

Eloレーティング

Elo Rating

もともとはチェスの実力評価のために考案された相対的なレーティング指標です。すべてのチームに基準値(1500)を与え、試合結果に応じて勝者にポイントが加算、敗者から減算されます。期待される結果より良い結果を出すほど大きく変動するため、シーズンが進むにつれ実力差が数値に表れます。

勝率 = 1 / (1 + 10^((Rb - Ra) / S))(S はスケール、PennantLabでは800)
Pennant Labでの使われ方12球団のEloを毎日更新し、優勝確率シミュレーションの土台にしています。標準のスケール400だと野球の試合では予測が極端化したため、バックテストで最適化したスケール800を採用しています。

モンテカルロ法

MC / Monte Carlo Simulation

ランダム試行を多数繰り返してある事象の発生確率を推定する数値計算手法です。野球の場合は「残り試合を50,000回シミュレーションした結果、各チームが何回1位になったか」を集計することで、優勝確率を求めます。

Pennant Labでの使われ方Pennant Labではトップページで残り全試合を50,000回、過去シーズン振り返りでは10,000回シミュレーションしています。試行回数を増やすほど確率の誤差が小さくなりますが、計算時間も増えるためバランスをとっています。

優勝確率

シミュレーションの結果、そのチームがレギュラーシーズン1位(リーグ優勝)になる割合です。確率なので合計はリーグ全体で100%になります。

Pennant Labでの使われ方トップページのヒーローカードに表示しています。シーズン序盤は不確実性が高く各チーム10〜30%に分散しますが、終盤には強いチームが80%以上に収束していきます。

CS圏

クライマックスシリーズ進出圏

そのチームがレギュラーシーズンを3位以内で終え、クライマックスシリーズに進出する確率です。優勝チームに加え、2位・3位を狙うチームの動向も追える指標です。

Pennant Labでの使われ方順位表のCS圏カラムに表示。優勝争いから脱落しても3位以内ならポストシーズンに進めるため、終盤戦の見どころとして注目される数字です。

投手指標

FIP

Fielding Independent Pitching

投手の本来の実力を示すために考案された指標で、守備の影響を除いた失点を推測します。本塁打・四球・死球・三振という投手自身がコントロールできる結果だけから計算されます。防御率(ERA)が運や守備力に左右されやすいのに対し、FIPは投手単体の実力を測りやすい指標です。

FIP = (13 × HR + 3 × (BB + HBP) − 2 × K) / IP + リーグ補正定数
Pennant Labでの使われ方予告先発の評価に使用しています。リーグ平均FIPからの差を補正Eloとして勝率に反映していますが、チーム平均ベースでは予測精度への寄与が小さいことがバックテストで判明したため、現在の係数は控えめに設定しています。

ERA

防御率

1試合(9イニング)あたりに与える自責点の平均です。日本野球では最も馴染みのある投手指標ですが、守備力・運・球場特性などの影響を受けやすく、純粋な投手の実力評価としては精度に限界があります。

Pennant Labでの使われ方投手の参考情報として表示しています。モデルの中核補正にはFIPを使用しているため、ERAは直接シミュレーションには使っていません。

K, BB

奪三振 / 与四球

Kは奪三振(KのキャラクターはStrikeoutの符号)、BBは与四球(Base on Balls)。投手の支配力を示す基礎指標で、FIP計算の主要なインプットになります。

Pennant Labでの使われ方投手スタッツの取得時に内部的に保存しています。

打者指標

wOBA

weighted On-Base Average

打者の総合的な得点貢献を1つの数字に表した指標。安打・四球・本塁打などにそれぞれ得点期待値に応じた重みを付けて算出します。打率や出塁率より得点創出への寄与を正確に反映します。リーグ平均は概ね0.320前後、好打者は0.370以上、トップ選手は0.400を超えます。

wOBA = (重み × 各イベント数の和) / (打席 − 犠打 − 故意四球)
Pennant Labでの使われ方打線補正と監督ファクターの計算に使用。実際のスタメン9人のwOBA平均とチーム上位9人のwOBA平均を比較することで、起用の最適度を評価しています。

OPS

On-base Plus Slugging

出塁率と長打率を単純に足し合わせた指標。計算が容易で広く使われていますが、wOBAと比べると重み付けが粗いため、精緻な分析にはwOBAが好まれます。

Pennant Labでの使われ方wOBAが取得できない打者のフォールバックとして使用しています。

守備指標

DER

Defensive Efficiency Ratio

インプレー打球(本塁打・三振・四死球を除いた打球)のうち、チームの守備陣がアウトに変えた割合です。NPBではUZRなどの座標ベースの守備指標が一般公開されていないため、チーム単位の総合守備力を測れる貴重な指標です。NPB平均は約0.715、好守備チームで0.74前後です。

DER = 1 − (被安打 − 被本塁打) / (打者数 − 三振 − 四球 − 死球 − 被本塁打)
Pennant Labでの使われ方2026年に補正要素として導入。バックテストで本拠地補正の半分程度の予測精度向上が確認できました。年度ごとに別途集計し、シミュレーション時に各チームの守備力としてEloに反映しています。

補正要素

本拠地補正

Home Field Advantage

本拠地で試合をするチームに与えられる優位性。観客の声援、球場への慣れ、移動疲労の差、最終回攻撃などが組み合わさり、勝率に統計的に有意な差が出ます。NPBでは本拠地チームの勝率がおよそ55%前後です。

Pennant Labでの使われ方毎試合、本拠地チームに+35 Eloポイントを加算しています。バックテストで最も寄与が大きい補正の一つです。

球場ファクター

Park Factor

各球場が打撃寄りか投手寄りかを示す係数。広い外野や湿気の高い気候は投手有利になり、狭い外野や乾燥した気候は打者有利になります。1.00を中立、1.05以上が打者有利、0.95以下が投手有利と見ます。

Pennant Labでの使われ方12球場それぞれの係数を経験則で設定しています。バックテストでは寄与が小さいことが分かっており、係数は控えめにしています。

連戦疲労

連続する試合数が一定を超えると、特に中継ぎ投手の登板過多や選手の疲労が累積し、勝率がわずかに低下する傾向があります。

Pennant Labでの使われ方3連戦を超える連戦になった日から、追加日数1日あたり5 Eloポイントを減算しています。

監督ファクター

Manager Factor (β版)

実際のスタメン構成を、そのチームで起用可能な打者上位9人と比較した「起用最適度」を0〜100で表す独自指標です。100に近いほど最適なスタメン、低いほど主力を温存・休養させていることを意味します。

監督ファクター = (実スタメン9人のwOBA平均) / (上位9人のwOBA平均) × 100
Pennant Labでの使われ方試合予測ページのスタメン公開時に表示しています。守備位置や走力は反映していないため、参考値として位置付けています。

精度評価

WAR

Wins Above Replacement

ある選手が「代替可能選手(マイナーリーグ平均レベル)」と比較して、そのチームに何勝分の価値をもたらしたかを示す総合指標です。打撃・守備・走塁・投球を合算して1つの数字に集約します。

Pennant Labでの使われ方離脱補正に使用しています。主力選手の離脱があった場合、そのWAR値に応じてチームのEloを一時的に下げます。

ベイズ収縮

Bayesian Shrinkage

サンプル数が少ない指標を、リーグ平均値方向に引き寄せて安定化させる統計テクニックです。例えば、シーズン序盤に1試合だけ登板した投手のFIPが極端な値を取らないよう、リーグ平均と加重平均することで現実的な値に補正します。

Pennant Labでの使われ方投手FIPの計算に使用しています。投球回が50回に達するまでリーグ平均との加重平均をとり、シーズン序盤の極端値を抑えています。

Brier Score

ブリエスコア

確率予測の精度を測る指標。各試合の予測確率と実結果(勝ち=1、負け=0)の差を二乗して平均した値です。完璧な予測なら0、常に50%予測なら0.25。値が小さいほど予測が正確だと言えます。

Brier = (1/N) × Σ(予測確率 − 実結果)²
Pennant Labでの使われ方バックテストの主要評価指標。Pennant Labの最新モデルは0.245前後で、常にホーム勝率予測(0.248)を上回ります。

LogLoss

対数損失

確率予測の精度を測るもう一つの指標。Brierと違い、確率が外れた時の損失が指数的に増えるため、極端な確率予測(例: 99%と予測して負け)が大きなペナルティになります。

LogLoss = −(1/N) × Σ(y × log(p) + (1−y) × log(1−p))
Pennant Labでの使われ方Brierと併用してモデルの極端化(自信過剰な予測)を検出する用途に使っています。

キャリブレーション

Calibration

「予測した確率」と「実際の発生頻度」がどれだけ一致しているかを評価する観点。例えば60%と予測した試合群で本当に60%勝っているなら、そのモデルはキャリブレーションが取れていると言えます。

Pennant Labでの使われ方バックテストで予測確率を10%刻みのビンに分け、各ビンの実勝率とのギャップを確認しています。最新モデルは全ビンで±5%以内の精度を達成しています。